歴史と娯楽と日常の狭間で

自分がこれまでに蓄えた歴史の知識、楽しかった娯楽、日常の気づき等を淡々と綴るブログです♪

虚言癖の男……或いは、たった一人の仮面舞踏会【派遣で出会った人々】

踊る。踊る。「仮面」をつけて。

踊る。踊る。華やかに、雅やかに。

「仮面」は彼を、輝かせる。

「仮面」は彼を、強くする。

しかし、その光輝、その強さ

酔いしれるは、己のみ……。

 

 

嘘で固めた仮面の男……

f:id:chijoji:20181208092613j:plain



それは、7年前パチンコの製造をしていたときのことだ。ある日、僕の所属していた部署に、とある男性が配属されてきた。

 

年齢は40代初め、長身ではあるが痩せ細った体形で、何処と無く頼りなげな印象だ。

しかし何よりも印象的なのは、その 表情である。つねに眉間に皺をよせ、所在無く視線を彷徨わせている様は、頼りなげな印象をより深めている……。

 

さてその仕事振りであるが、これまたその外見に劣らず異様な感じだ。

まるで何かに追われてでもいるかの様に、実に慌しい。……当然ながら彼の任されていた仕事は、特に納期が迫っているわけではない。急ぐ必要など何処にもない。

明らかに、何かに怯えている……。

 

その様な調子なので2時間程働いた頃には、もう精魂尽き果てている様に感じる。

まるで、完走直後のマラソンランナーといった風情だ……。

 

そんなちょっと異様な感のある彼だが、ある日、彼と会話をする機会があった。話を聞くに彼はアニメが好きだと言う。僕が「装甲騎兵ボトムズ」のファンだと話すと、これまた異様な感に相応しい異様な返答が返ってきた……。

 

「ボトムズ好きなんですか? 僕はね、あれのパイルバンカー(劇中に出て来る武器の名前)のデザインを担当してたんですよ」

 

………? つまりは製作スタッフだったということか? ちなみに「装甲騎兵ボトムズ」という作品は、1983年に製作されたアニメである。彼は前述したように40代初め、逆算すると中学~高校生だったはずだ。製作スタッフはおろか働く年齢ですらない。僕の中で疑惑が芽生え始めた……。

 

さらに別の日、彼はこんなことも言った。

 

「僕は昔、空手をやってまして、黒帯持ってますよ」

 

……これに関しては、もはや言うまでもあるまい…。前述のような、細身の体形でかつ、常に怯えたような態なのだ。とても格闘技をやっていたとは思えない。明らかにである。

 

その後も彼は、自分はとあるゲームのプログラマーだの、学生時代サバゲーで外国人をボコボコにしたことがあるだの、ことあるごとにすぐにバレるような嘘をつき続けた。

 

僕の疑惑は、確信に変わった。彼は、虚言癖だと……。

 

虚言という名の仮面の裏……

f:id:chijoji:20181208075716j:plain

 

彼は、何故ゆえにこのような嘘をつくのか?

 

だが、こう言う僕自身少し彼の気持が分かるのだ。僕もよく小さな嘘をつくことがある。誰かに問い詰められた時、分からないことを聞かれた時等、つかなくてもいい嘘で自分を取り繕い、よく魅せようと自らを「装飾」する。

 

彼もおそらく、そうなのかもしれない。常に周囲に対して怯えている彼は、「嘘」という名の仮面で、自らを「装飾」し、その虚像に酔いしれる。しかし、それに酔うのは己のみ。たった一人の仮面舞踏会……。

 

限りなく空しく、限りなく無意味だ……。しかし、僕は彼を、笑えない……。

 

 

それでは失礼します。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。