歴史と娯楽と日常の狭間で

自分がこれまでに蓄えた歴史の知識、楽しかった娯楽、日常の気づき等を淡々と綴るブログです♪

『装甲騎兵ボトムズ』 キリコ自分探しの旅 Part 2

前回は、キリコの歪な人間性について綴った。

 

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「ボトムズ」のテーマというと、多くのファンがこう答える。

「主人公・キリコとヒロイン・フィアナの恋愛ドラマ…つまり、“愛” だ」……と。

……これに対する僕の答えは、「否」である。いや、「否」というと語弊がある。正確にいえば、「それは一面に過ぎず、本質は別である」……だ。

 

なるほど確かに「ボトムズ」という作品は、主人公とヒロインの恋愛ドラマが全編を通した縦軸として機能しているようにみえる。だがそれは、あくまで本質のテーマを円滑に描き出すための「手段」でしかないと、僕は考える。

 

では、「ボトムズ」の本質のテーマとは何か?

それは……主人公・キリコの「人間回帰」の物語だ!

 

※以下、ネタバレ含みます。

 

 

凍った心に灯る、小さな火

前回の記事を読んでない方及び「ボトムズ」未見の方のために、キリコはこんな↓男。

 

 

キリコの魂の旅は、友軍に裏切られた時より始まることとなる。その日、彼の「日常」であった戦争が終結する。これによって彼は命令されて戦う兵士ではなく、己の意志でひとりの人間として戦う、新たな「日常」を送ることを余儀なくされる……。

 

だがそれは、戦争によってあらゆる人間性や価値観を失ったキリコにとって、茨の道以外の何者でもなかった……。以下その茨の道ともいえる、キリコの魂の旅を、第2話より始まる「ウド」という都市を舞台に展開される、通称「ウド編」に於けるキリコの行動やセリフから追ってみよう……。

 

 

 友軍の裏切りにより、軍の最高機密強奪の嫌疑をかけられたキリコは、軍を脱走。ウドという都市に身を隠す。しかし長い軍隊生活により、「戦い」以外の生活を知らないキリコは、ウドに於いても無目的にひたすら「戦い」のみを追い求めようとする。そんな自身の心情をキリコはこう語る……。

全ての価値観を失っていた俺は……というより、俺には始めからこの世での価値観や、目的など無かったのかもしれない……。

 

「装甲騎兵ボトムズ」 第4話「バトリング」より引用

 

俺は、攻撃してきた敵に感謝していた。戦いになれば、嫌なことは忘れていられる。忘れるために戦い続ける……そして、いつかは……。

 

「装甲騎兵ボトムズ」 第10話「レッド・ショルダー」より引用

 生きる意味を見出せず、ただ「戦い」を求めるキリコにとって、己の命すらまったく無価値のものであったのだろう……。

 

そのような状態なので、ひょんなことから行動を共にすることとなった仲間たちに対しても、「俺は仲間ではない」と言い続け、彼らに話しかけられても無視し、深い接触を避けようとする……。

 

だが、そんなキリコの心境を変える出来事が起こる。

キリコはひょんなことから仲間たちと協力し、とある敵対勢力から大金を強奪することとなる。しかし、その抗争の最中、キリコは敵対勢力の手に捕われ、絶体絶命の窮地に立たされる。

 

そんなキリコを救出すべく、仲間たちは折角手に入れた大金をウドの街にばら撒き街中を混乱させ、その隙に見事キリコを救出するのだった……。

 

大金を投げ打ってまで、自分を救ってくれた仲間たちに対し、キリコはやっと一言…。

おかげで……助かった

 

「装甲騎兵ボトムズ」 第9話「救出」より引用

 

 以外なセリフに仲間たちは戸惑うも、それが今のキリコにとって、精一杯の言葉なのであった……。

 

さらに、敵対勢力との戦いの最中、キリコは運命の女性・フィアナと出会う(実は彼女こそが、キリコが強奪の嫌疑をかけられていた軍の最高機密そのものだったのだ)。

彼女との間に確かな絆を感じたキリコは……、

俺の運命を狂わせた彼女は、もう“敵”ではなかった。

益々泥沼に引きずり込まれる様な予感に怯えながら、一方俺は驚いていた。自分がかつて、これほどまでに願ったことがあっただろうか。

……もっと生きたい、と…… 

 

「装甲騎兵ボトムズ」 第11話「逆襲」より引用

 「戦い」を求め、それによって訪れる「死」を当然の様に受け入れようとしていたキリコは、ここにきてようやく人並みに「生きたい」と思う様になるのである……。

 

キリコの「自分探し」の旅は、次の舞台へ……

他者の思惑によって感情を殺され、「凍った心」を持つことを余儀なくされたキリコは、仲間やフィアナとの出会いにより、小さな火を灯すことが出来た……。

 

その後、激化する抗争の中、ウドの街は炎の中に沈むこととなる……。

からくも脱出したキリコは、次なる「闘い」の地へと赴く。そこで待つ「闘い」は、まさにキリコ自身の「運命」そのものと言ってもいい存在との「闘い」なのだ……!

 

 

それでは失礼します。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

次回も、キリコと地獄に付き合ってもらう!!