歴史と娯楽と日常の狭間で

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『装甲騎兵ボトムズ』 キリコ自分探しの旅 Part 3 (完)

さて、これまでキリコの人間性とその心境の変化を追ってきた。

 

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※以下ネタバレします。

 

 

ウドを去っても、キリコの「自分探しの旅」は終わらない。

14話より始まる、内乱に揺れる炎熱の国・クメンを舞台に展開される「クメン編」では、ヒロイン・フィアナとの間に確かな「愛」を感じ取り、自ら望んだ「闘い」を棄てた……。

 

 

しかし、そんなキリコの想いも空しく、「未知なる謎の意志」の存在によって、戦争で荒廃した惑星・サンサへと導かれてしまう…。そこでキリコは、かつて戦場で己の行った蛮行を思い出し、苦悩する……。それは、「過去の自分」を見つめなおす苦いステップであった……。

 

 
「なぜゆえ自分は、このような茨の道を歩まされるのか?」
その人生のルーツを求め、キリコは惑星・クエントへと旅立つ……。
 

神に銃弾を撃ち込んだ魂の巡礼者

辿り着いた惑星・クエントにてキリコは、アストラギウス銀河(作品の舞台となる銀河系)を3000年間支配してきた“神”を名乗る異能者ワイズマンなる存在と邂逅し、自らもまたワイズマンと同じ異能者と呼ばれる新人類であることを知らされたキリコは、それのみならず、自らの茨の道にも似た苦難の旅が全て、ワイズマンによって仕組まれたものであることをも知るのだった……。

 

そしてワイズマンは自らが課した苦難を経て、完璧な異能者へと進化したキリコを後継者に指名するのだった……。

 

しかし、キリコはそれを拒否……“神”を殺す道を選ぶのだった……。

 

なぜゆえに? ファンの方の中にはこのキリコの決断について、「キリコは“神”の座よりも、一人の女との“愛”を取った」と評する人がいるが、僕は「それだけではない」と思う。……これは、自分の運命を操って地獄を見せ、歪な人間に貶めた神への復讐なのだ!

 

人は誰しも一度は、自分と他者との違いに悩むことがあるはずだ。中にはそれによって人生に生き辛さを感じ、僕の様に「社会不適合者」と呼ばれる立場に自らを貶めてしまう人もいるだろう……。

 

そしてその様な苦悩が、自分の与り知らないところで誰かによって仕組まれていたものだとしたら……果たして人は平静でいられるだろうか……?

 

キリコは、誰に命じられたわけでもない……自らの「感情」でそれに対し怒り、そして自らの「意思」で復讐を果たしたのだ!

 

「ボトムズ」……その真の「リアリズム」……

「自らに置かれた環境に順応すべく己を殺し、いつしか人間的な感情を失う」

 

はっきり言って、他人事だろうか? それは上記の様な「社会不適合者」と呼ばれる人たちのみではない。所謂「立派な社会人」と呼ばれる人たちも、決して例外ではない。

 

自らが所属する組織に順応しようとする余り、感情を殺して生きていないと、断言できるだろうか? 

 

……「ボトムズ」という作品は、そんな誰もが陥りかねない「ただ命ぜられるまま“受動的”に生きること」しか出来なかった男が、初めて「自らの意思で、“能動的”に何かを成し遂げる」までを描いた物語なのである。

 

キリコの置かれた状況は、決して他人事ではない。だからこそ、彼の生き様は放映から30年以上経った今も、ファンを魅了し続けているのだと思う……。

 

そこに僕は、「ボトムズ」の真の「リアリズム」を見る想いだ……。

 

 

それでは失礼します。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。